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- ユースケース
フレキシブルプリント回路生産の後工程における化学物質の廃水処理用デカンタの状態監視
フレキシブルプリント回路の製造では、さまざまな化学物質をフィルムに塗布する必要があります。この化学物質の残留物は、その後洗い流され、廃水タンクに収集されます。溶解化学物質が確実に結合して凝集するようにするために、タンク内の混合物に適切な凝集剤が添加されます。次に混合物はポンプでデカンタに送られます。
デカンタには、液体と固体を分離するという重要なタスクがあります。水回収のきわめて重要なプロセスです。廃水規制によれば、気密スラッジ物質は特殊廃棄物として廃棄する必要があります。残りの液体物質は、廃水処理に追加される前に、嫌気性の生物学的処理が必要です。
これが、デカンタの特徴的な機能です。廃棄プロセスに混乱が生じると、利用可能な収集コンテナが汚染化学物質でいっぱいになり、それ以上処理できなくなります。すると、フレキシブルプリント回路製造プロセス全体が停止します。水回収プロセスは中断されます。
これを防ぐため、モータ速度とドラムベアリングのパラメータを監視して、早い段階で措置を行いプロセスの完全性を確保できるようにする必要があります。
初期状況
当初、デカンタのメンテナンスは、フレキシブルプリント回路製造の後工程にある廃棄プロセス内で定期的に実施されていました。
そして、異常を発見するためにメーカ企業が搭載した振動センサで、メーカの元にあるヒューマンマシンインターフェース(HMI)に表示されていました。
しかし既存のシステムには、リミット値の監視とアラートシステムはありませんでした。
ドラムドライブの速度測定もありませんでした。
過去には、モータの損傷が差し迫っていても検出できず、その結果高い修理コストと1週間以上のプロセス障害が発生していました。
プロジェクトの目的
デカンタの処理能力の確保。これは、差し迫った損傷と故障を早い段階で検出するために、重要なパラメータを状態ベースで監視することによって実現します。それにより、メンテナンス間隔は生産時間の枠組み内で適切にスケジュールできます。生産のダウンタイムによる高いコストを回避できます。そして最終的に、適切な排水廃棄と水のリサイクルを保証することにより、環境を保護することもできます。
実装
moneo|RTMと組合わせた状態監視により、水処理と環境保護の透明性およびプロセスの信頼性を実現できます。
すべてのデータを完全かつお客様に使いやすいように表示するために、moneoは社内サーバにインストールされます。
ベアリングとモータ駆動ベルトの振動解析を監視することで損傷を検出します。予期せぬ故障を防ぐため、モータの速度パラメータも解析します。設計と、対応する周波数範囲のため、振動解析用に加速度センサ“VSP003”が4つ設置されました。
1台のVSP003は、上部の入力と出力で垂直方向に監視するために、遠心分離機の外部ベアリングの両側に、接着アダプタで取り付けられます。水平方向のモータ振動診断は、モータの側面にねじ止めされた2台のVSP003センサで並行処理されます。速度検出用に、高周波誘導式近接センサIFC201が2つの駆動ベルトに設置されました。収集されたすべてのデータはVSE953に送られ、処理されます。このVSEは保護構造IP65で、フィールドに自由に設置できます。
既存の制御盤を改造したり、追加の外装を用意する必要はありません。コンポーネントの振動監視用のパラメータセットは、デバイスに保存されます; VSE953は決められたリミット値をmoneoシステムに伝送します。
moneoを経由して、お客様はすべてのデータをオフィス内のコンピュータで確認できます。また、リミット値を超えた場合のアラーム機能も使用できます。
結果
moneo RTMによりシンプルに実装され、視覚化された水回収と環境保護のための状態監視
正常な廃水処理を確保するための、プロセスと機械の状態監視を、簡単に実装することに成功しました。
異常やアンバランス、故障が早期に検出されるため、予期せぬ停止とその結果のコストを回避できます。
この革新的なメンテナンス編成は、moneo RTMのアラームおよびチケット管理機能と、すべての関連パラメータを明確かつ簡潔にダッシュボードに表示することで実現します。これは、オフィス内の機械のオペレータのデスクで確認できます。
システムの構造
- ドライブ上の振動センサ
- スピードセンサ
- 遠心分離機上の振動センサ
- 診断増幅器
ダッシュボード
moneoダッシュボードの概要を把握できます。
- デカンタドラムの速度
- デカンタスクリュの速度
- ドラムとスクリュの間の速度差の計算値
- v_RMS、デカンタスクリュ用モータ
- v_RMS、デカンタドラム用モータ
- v_RMS、固形物側ベアリング
- v_RMS、液体側ベアリング
分析
分析機能では、履歴データにアクセスしてさまざまなプロセス値を比較できます。図は、液体側ベアリングの振動値を示します。
ここでは、動作状態ON ①とOFF ②の違いが明確に見られます。たとえばベアリングの損傷が進んでいる場合、記録されたデータから、損傷の傾向と進行具合から発生時を推定できます。
- デカンタ遠心分離機が停止中
- デカンタ遠心分離機が動作中
設定とルール:しきい値の管理
静的しきい値
デカンタ遠心分離機の評価のためのリミット値は、VSE953のパラメータデータセットに保存されます。いずれかのリミット値を超過した場合、VSEがそれをmoneoに報告します。
- 監視対象データソース
- VSEのトリガイベント
チケット処理ルール
VSEが定義されたリミット値を超過、または到達していないことをmoneoに通知するとすぐに、対応するプロセス値のチケットが作成されます。これを担当する従業員が引継いで処理できます。コメント機能により、実装された措置とソリューションの説明を直ちに文書化できます。
次の通知オプションがあります。
- メール通知
- SAP統合
計算値
2つの駆動モータの速度値に加えて、moneoは2つの速度の差も検出します。この値は、計算値を使用して迅速かつ簡単に求められます。
速度差 = デカンタドラムの速度 - デカンタスクリュの速度
- デカンタドラムの速度
- デカンタスクリュの速度
- 減算
- 速度差
デカンタの運転時間は別のフローで計算されます。これは、moneoの時間メータのテンプレートに基づきます。このアプリケーションには2つの速度値があるため、時間メータでは両方の速度値が考慮されます。
動作時間 ++ = (デカンタドラムの速度 > 100) && (デカンタスクリュの速度 > 100)
- デカンタドラムの速度
- デカンタドラムの速度のリミット値
- デカンタスクリュの速度
- デカンタスクリュの速度のリミット値
- デカンタドラムの速度 > しきい値
- デカンタスクリュの速度 > しきい値
- 両方の速度 > しきい値
- カウンタ
- Infopoint動作時間