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圧力センサ認定用のインパルス圧力試験システムの高圧オイルフィルタの監視

型式試験では、圧力センサはインパルス圧力油圧試験ベンチで行われる「加速寿命」試験で認定されます。

インパルス圧力試験システムの高圧フィルタは、正常な動作に欠かせないコンポーネントです。油圧システム内のコンポーネント損傷により摩耗が発生すると、計画メンテナンスによるフィルタ交換の前に、フィルタが詰まる場合があります。

初期状況

40 MPaを超える油圧高圧フィルタのリアルタイムプロセス監視は一般的ではありません。圧力フィルタの交換は、一定の期間間隔で実施されていました。計画メンテナンスの場合、油圧ピストンポンプが早期に故障すると、油圧システムにチップが侵入してしまうことがありました。チップは圧力フィルタに沈殿し、やがてフィルタエレメントのひびを発生させてしまいました。

周期的なフィルタ監視では、この予測できない事象を適時に検出することができず、パルス圧力試験ベンチを完全に故障させてしまい高い修理コストが発生していました。

プロジェクトの目的

通常運転時のメンテナンス間隔の延長

高圧フィルタまたはフィルタエレメントの状態監視これはシステムの耐用時間、運転時間、安全性にとって非常に重要な要素です。

目的は、メンテナンス戦略を圧力フィルタエレメントの周期的な交換から状態基準の交換に変更することです。

オイルフィルタの前後の差圧しきい値監視を含む、監視と可視化により、フィルタ交換の必要性に関する情報を早期に得られます。

実装

プロジェクトの実施前には使用されていなかった2つの圧力センサを、圧力フィルタの前後に取付けます。この2つのセンサのアナログ信号はIO-Linkコンバータ(DP1222)で変換され、IO-Linkマスタに伝送され、そこからセンサ値がmoneoに伝送されます。

しきい値管理とデータ監視はmoneo RTMで実施されます。

このプロジェクトのセットアップ中、初期段階で差圧がはるかに高すぎるという、システムの技術的障害が発見されました。これはその後メーカによって修正されました。

moneoに接続しなければ、この問題は検出されず、いずれ高圧ピストンポンプの耐用時間の減少につながっていたでしょう。

結果

moneo RTMの状態監視により、高圧フィルタシステムの処理能力、ひいては生産プロセスが保証されます。気付かなかった損傷による追加コストを回避できます。

オイルフィルタ(フィルタの前後)に関するデータ取得、その視覚化としきい値監視により、オイルフィルタの状態に基づくメンテナンスが可能になります。汚れが速やかに検出され、プロセスと機械の大きなコストに繋がる損傷を予防できます。

システム構造

  1. フィルタの前に設置したアナログ出力0~10Vの圧力センサ
  2. フィルタの後ろに設置したアナログ出力0~10Vの圧力センサ
  3. Y型接続ケーブル-EVC433
  4. コンバータ0~10V – IO-Link - DP1222
  5. IO-Linkマスタ - AL1352

ダッシュボード

moneoダッシュボードの概要を把握できます。

ダッシュボードでは、フィルタ前後の圧力と、それらの差圧の概要を把握できます。フィルタの状態を迅速に特定するため、信号機インジケータで可視化できます。そのため差圧の設定済みしきい値は、赤、黄、緑で表示されます。

  1. 差圧の計算値(MPa)
  2. フィルタの前にある圧力センサの計算値(MPa)
  3. フィルタの前にある圧力センサの出力電圧(ボルト)
  4. 現在のフィルタ状態の信号機表示
  5. フィルタ動作時間カウンタ
  6. フィルタの後ろにある圧力の計算値(MPa)
  7. フィルタの後ろにある圧力センサの出力電圧(ボルト)

分析

解析を使用して、さらに詳細を見ることができます。スクリーンショットには、3か月間で収集された圧力値と電圧値が表示されます。ご覧のように、差圧は時間の経過とともに増加します。フィルタは時間をかけて詰まるることは想定どおりです。

  1. 青 = フィルタの前にある圧力センサのアナログ信号
  2. 白 = フィルタの後ろにある圧力センサのアナログ信号
  3. 紫 = 差圧の計算値

設定とルール:しきい値の管理

静的しきい値

moneo RTMのこの機能により、各プロセス値に対して個別にしきい値を定義できます。このアプリケーションでは、フィルタ交換が必要な場合に、メンテナンススタッフが適時に通知を受けるようにしきい値が設定されました。

特に機械の起動時には、高い圧力変動が一時的に生じることがあります。これは遅延時間で対処できます。つまり、しきい値が短時間のみ超過した場合は通知されず、差圧が時間Xにわたって超過した場合のみ通知されます。

  1. 上限アラームしきい値
  2. アラームしきい値の遅延時間
  3. 上限警告しきい値
  4. 警告しきい値の遅延時間

チケット処理ルール

チケット処理ルールウィザードにより、警告およびアラームが発生したときに実行すべき措置を簡単に定義できます。

次の事例では、チケットはSAPへのSFIインターフェース(PMシステム)経由で処理されます。

差圧のしきい値異常が発生した場合には、moneoのメッセージと並行して、SFIインターフェースからSAPシステムにメンテナンス指示が生成されます。システムの担当者は、該当フィルタを交換し、フィルタ交換完了をSAPシステムに報告できます。これにより、moneo内のしきい値異常発生のメッセージも自動的にクローズされます。

  1. どのルールが適用されるかを定義
  2. しきい値(4)とデータソース(5)の定義
  3. 警告またはアラームの緊急度を定義
  4. 関係するしきい値を定義
  5. 対応するデータソースの定義

計算値

計算:フィルタの前の圧力

フィルタの前の圧力(MPa) =アナログ電圧信号 * 10

Dataflow Modeler

  1. フィルタの前にある圧力センサのアナログ電圧信号(0~10V)
  2. 電圧からMPaへの変換用の定数「10」(0~10 V = 0~100 MPa)
  3. 電圧(0~10V)に変換係数(10)を乗算
  4. フィルタの前の圧力値の結果[MPa]

計算:フィルタの後ろの圧力

フィルタの後ろの圧力(Mpa) =アナログ電圧信号 * 10

  1. フィルタの後ろにある圧力センサのアナログ電圧信号(0~10V)
  2. 電圧からMPaへの変換用の定数「10」(0~10 V = 0~100 MPa)
  3. 電圧(0~10V)に変換係数(10)を乗算
  4. フィルタの後ろの圧力値の結果[MPa]

差圧の計算

差圧[∆P] = フィルタの前の圧力 - フィルタの後ろの圧力

  1. フィルタの前の圧力の計算値
  2. フィルタの後ろの圧力の計算値
  3. ファンクションブロック「Absolute difference」で絶対差の値を計算
  4. 結果の差圧(MPa)

動作時間カウンタ

moneoは、センサのプロセス値に加えて高圧フィルタの動作時間も検出します。この機能は「動作時間カウンタ」テンプレートを使用して迅速かつ簡単に実装できます。

そのために、動作状態を記述するデータソース②が必要です。次の例では、フィルタの前にある圧力センサの出力電圧としきい値③が使用されます。

  • < 0.03 V、フィルタを通過するフローなし
  • >= 0.03 V、フィルタを通過するフローあり
  1. 動作時間カウンタの名称
  2. Data source
  3. しきい値/トリガ
  4. カウントプロセスの現在のカウンタ値/開始値(単位:時間)
  5. 時間の単位