- moneo:IIoTプラットフォーム
- ユースケース
Moneo RTMによる生産でのエアフィルタの監視
フィルタ状態の表示と分析
ifm prover gmbhの中央換気システムは監視されます。これには、1階と2階の空気の供給と排気用のフィルタならびに、ワークステーション排気システムのフィルタが含まれます。原理上、簡単に言うとフィルタはシステム内の抵抗です。媒体に属さない異物が、フィルタのメッシュや穴に詰まります。これにより全抵抗が増加します。そのため、圧力が一定のままでも流速が低下します。その結果システムのパフォーマンスが次第に損なわれます。これは、搬送圧力を増加させることである程度克服できますが、必要なエネルギも増加します。必要なフィルタ性能に応じて、フィルタの交換に最適なタイミングはケースバイケースで考慮して決定しなければなりません。
生産プロセスにおけるフィルタ監視のユースケース:
- 製品とプロセスの品質保証
- エネルギ消費の最適化
- メンテナンスの組織化
- 空気品質要件(細塵、空気純度、抽出効率)を満たす
初期状態:
換気フィルタのメンテナンスは固定時間間隔で行われていました。中央監視は存在せず、フィルタ交換が必要な場合のアラート(メール、チケット)は発行されていませんでした。現在の状態はフィルタ上のデバイスでローカルに視覚化されるのみでした。その結果、フィルタの交換が早すぎたり遅すぎたりしました。これには、フィルタの交換、廃棄、エネルギ消費、ダウンタイムによる追加の運用コストが伴いました。障害検出(フィルタ破損、フィルタが取り付けられていない、詰まりなど)の最適化などの解析は、データがないため不可能でした。履歴データの保存により改善される可能性が分かりました。
プロジェクトの目的:
ニーズに基づくフィルタ交換戦略と、時間ベースから状態ベースのメンテナンスへのシフトこの最適化は、フィルタ状態の自動監視と視覚化によって達成されました。
実装:
ifm prover gmbhで、moneo|RTMが中央のサーバにインストールされます。IO-Linkマスタは社内VLAN経由でサーバに接続され、センサはIO-Link経由でマスタに接続されます。アナログ出力を備えた差圧センサがフィルタに取付けられました。信号はIO-Linkコンバータ(DP2200)で読取られ、IO-Linkプロセス値に変換され、IoTインターフェース(AL1350製品など)によってIO-Linkマスタに伝送されます。
moneo RTMはこのIO-Linkマスタ経由で、プロセス値を周期的に登録します。このようにして受信したアナログ電流値は、「計算値」機能経由で、パスカル単位のプロセス値へ変換処理されます。このプロセス値は実際のセンサに対応します。
フィルタ交換のしきい値は、関連するバッグフィルタのデータシートから取得され、moneo RTMでリミット値として設定されました。危機的な状況が発生するのを回避するため、対応するユーザグループがチケット処理ルールエリアに保存され、リミット値を超過した場合にフィルタ交換を開始できるように、通知が送られます。
その結果、
フィルタの常時監視の導入により、時間ベースから状態ベースのメンテナンスへと、内部処理が最適化されました。障害を適時に検出することにより、機械のアップタイムが確保され、品質が向上しました。
フィルタ交換が必要な場合にタイムリにアラート(メール、チケット)が送られるため、プロセスの品質が向上しました。環境への影響と運用コスト(エネルギ、メンテナンス、材料)は、新しいメンテナンス戦略により持続的に削減されました。
メンテナンス作業の文書化と履歴データの保存により、将来十分なデータ材料が利用できるようになれば、フィルタシステム最適化の可能性を解析できます。メンテナンススタッフは顧客固有の条件に簡単に適応でき、プロセス値(差圧、特定の単位への変換)の計算が可能なアプリケーションを使用できます。moneo RTMの使用により、すでに機械と抽出システムの結果的損害を回避できました。
結論:
moneo RTMにより、次のすべての目標が達成できました。
- 設備に関する概要と詳細情報をダッシュボードに表示
- さらなる最適化のためにデータを記録
- データ記録の解析の可能性
- フィルタ状態の常時監視
- しきい値違反の場合にメール通知
システムの構造
- 出力4~20mAの差圧センサ
- 4~20 mAアナログ信号用の分析システムとディスプレイ()DP2200
- IO-Linkマスタ(AL1350)
ダッシュボード
moneoダッシュボードの概要を把握しましょう。現在のプラントの状態を、信号機ディスプレイで簡単に監視できます。この場合、4つの監視対象フィルタが明確に表示され、現在の状態の概要を迅速に把握できます。
別のダッシュボードが作成され、さまざまな視覚化ツールを使用して、単一フィルタの現在のパラメータが詳細に表示されます。
- 差圧センサの生のアナログ値(mA)
- 差圧の計算値(Pa)
- 経時的に表示される差圧
- 現在のフィルタ状態の信号機表示
分析
解析からさらに詳細を確認することができます。長期的に評価を行うことで、プラントの稼働時間をさかのぼって解析できます。
- プラントは稼働中
- プラントは非稼働
様々な評価により、トレンドを非常に短時間で特定できます。この場合、たとえば4つすべてのフィルタの差圧を、2日間にわたって観察しました。差圧がゆっくりと増加していることから、2階の排気システムのフィルタ(紫の線)が詰まっていることが見て取れます。
- 紫の線、2階の差圧フィルタ排気システム
タスクとチケット:開始/停止のしきい値
しきい値の管理
moneo RTMのこの機能により、各プロセス値に対して個別にしきい値を定義できます。このアプリケーションでは、フィルタ交換が必要な場合に、メンテナンススタッフが適時に通知を受けるようにしきい値が設定されました。
警告しきい値に到達すると、スタッフは必要なフィルタ交換に関する情報を受取り、適宜スケジュールできます。このパーツは、遅くともアラームしきい値に到達したときに交換する必要があります。
ファンの起動段階では、オーバーシュートが生じてしきい値を一時的に超過することがよくあります。短時間のオーバーシュートによって生じる誤認アラームや警告を回避するため、応答遅延を設定できます。
- 上限警告しきい値
- 警告しきい値の遅延時間
- 上限アラームしきい値
- アラームしきい値の遅延時間
チケット処理ルールの管理
チケット処理ルールウィザードを使用すると、警告およびアラームのルールを簡単に定義できます。下の例では、警告およびアラームのしきい値に到達し、直ちにまたは緊急にフィルタ交換が推奨される場合に、メンテナンス部門のメール受信者グループに通知が送られます。
- しきい値(5)とデータソース(6)の定義
- どのルールが適用されるかを定義
- 警告またはアラームの緊急度を定義
- メール受信者を定義
- 関係するしきい値を定義
- 対応するデータソースの定義
moneo内で生成されるメールには、既に次のチケット情報が含まれます。
- 影響されるデータソース
- 超過または未達の値
- チケットの優先度
- タイムスタンプ
計算値:
「計算値」機能を使用して、プロセス値をさらに処理できます。このユースケースでは、センサから提供されるアナログ電流信号がパスカル単位の圧力値に変換されます。4mAという値は0Paに対応し、20mAという値は500Paです。
差圧[Pa] = アナログ電流値としての差圧[mA] - 4mA * (500 Pa / 16 mA)
- センサからのアナログ電流値としての差圧(4~20mA)
- センサの最大測定範囲(500Pa = 20mA)
- アナログ値の現在のスパン(20 mA - 4 mA = 16 mA)
- アナログ値のオフセット(4~20 mAを0~16 mAに)
- 電流をパスカルに変換するための因子の計算
- 電流値(0~16 mA)に因子を乗算
- パスカル(Pa)単位の結果の差圧