- moneo:IIoTプラットフォーム
- ユースケース
moneo SmartLimitWatcherによるスマートなポンプ監視
供給ポンプの広範な状態監視
供給ポンプはCIPプラントの中心的要素の1つです。媒体がシステム全体を循環することを保証します。供給ポンプが故障すると、プラント全体のプロセスが停止します。
ポンプは洗浄ステップに応じてさまざまな速度で運用されているため、静的な監視は困難です。
目的は、AI(人工知能)ベースのポンプ監視を実装することで、動作状態の逸脱を適時に検出して報告することです。適時にメンテナンスを実施できます。
初期状況
ポンプの、振動監視と速度監視などのプロセス監視が実施されていないか、実施されていたとしても静的プロセス変数による非常に限られた範囲です。moneoのような監視または可視化システムは導入されていません。そのため、ポンプに生じる損傷を適時に通知することができません。
プロジェクトの目的
重要なプロセス値の記録とスマートなポンプ監視。
適切なIO-Linkセンサを使用して、ポンプの重要なプロセス変数が記録されます。
- 流量
- 速度
- 圧力
- 温度
- 振動データ
正常状態のデータ記録を使用して、動作状態にかかわらず監視可能なモデルを作成し、それにより正常状態からの逸脱(異常)を特定します。
実装
DataScienceToolboxとSmartLimitWatcher機能を含むmoneo|RTMを、中央サーバにインストールします。IO-Linkマスタは社内VLAN経由でサーバに接続されます。センサをIO-Linkマスタに接続します。
moneo|RTMはデータを記録して可視化します。DataScienceToolboxのSmartLimitWatcher機能を使用して、記録されたデータを解析して対応するモデルを計算します。ティーチイン後、このモデルを基準にポンプを監視し、正常状態から逸脱すると報告します。
ポンプはさまざまな状態(負荷あり、負荷なしなど)で運転します。それぞれの状態で、さまざまなしきい値設定が可能です。DataScienceToolboxのSmartLimitWatcher機能は、しきい値を動的に設定できます。プロセス値が特定の信頼帯から外れた場合、静的しきい値と同様に警告またはアラームが発報されます。
流量(ターゲット変数)を監視するために、SmartLimitWatcherが使用されます。サポート変数(速度、ポンプ圧力、振動データ)はこのために使用されます。これらはさまざまな動作状態での流量特性を示します。たとえば流量が増加している場合、速度とポンプ圧力も増加します。
結果
- シンプル
データサイエンスの専門知識は不要です。生産マネージャおよびメンテナンス管理マネージャ向けの、シンプルな5ステップのウィザードを備えた実用的なソリューションです。 - 便利
自動データ準備と迅速なチェック。複雑なデータの前処理は不要です。 - スマート
最適AIモデルの選択。自動モデルトレーニングと、監視精度の検証 - 信頼性
時間に基づくモニタリングと状態に基づくモニタリングターゲット変数の動的想定範囲を使用する、常時バックグラウンド監視。 - カスタマイズ可能
カスタマイズ可能な警告とアラーム。検出の感度を調整できます。
データ記録の透明性が向上し、最適化が可能になりました。プラントのアップタイムの増加により、全体的なプロセスが向上しました。内蔵アラーム管理により、プロセスパラメータの変化に迅速に対応でき、メンテナンスが最適化されます。これら全ての対策により、プロセスと製品の品質が向上します。moneo|RTMmoneo|RTMは詳細なプロセスの可視化を実現します。
結論
プラントは、既存のPLCやソフトウェアに変更を加えたり介入したりすることなく、デジタル化に成功しました。
システムの構造
- スピードモニタ
- 温度センサ
- 振動センサ
- 圧力センサ
- 流体センサ
- IO-Linkマスタ
ダッシュボード
moneoダッシュボードの概要を把握できます。
ダッシュボードには、このプラントの重要なプロセス値の概要が示されます。
- ポンプ出口での現在の流量(単位L/分)
- ポンプ出口での現在の圧力(単位mPa)
- 振動データの概要(RMS、v-RMS、a-Peak)
- 動作時間カウンタ
- ポンプモータの表面温度(℃)
- モータ速度(rpm)と流量(L/分)の比較
分析
分析機能では、履歴データにアクセスし、さまざまなプロセス値を比較できます。図は、起動時①、動作中②、停止時③の典型的な特性曲線を示しています。
速度曲線と圧力曲線はほぼ同一であることがわかります。システム内の流量は少し遅れていますが、これは媒体の慣性によるもので正常です。
- 青=流量
- 白=圧力
- 緑=速度
設定とルール:しきい値の管理
静的しきい値
ポンプのさまざまなパラメータは、動作状態に依存しないため、静的に監視できます。たとえば、モータ温度が50℃を超えてはいけない場合、静的な警告しきい値とアラームしきい値を設定することで簡単に実現できます。
動的しきい値(SmartLimitWatcher)
この場合、SmartLimitWatcherを使用してポンプの流量(ターゲット変数)を監視します。
サポート変数(ポンプの圧力、速度、加速度の値)を使用して、プロセス値の周囲に信頼帯を作成するモデルが計算されます。それにより、さまざまな動作状態を考慮した流量のしきい値が定義されます。
感度、つまり信頼帯の幅は、パラメータを使用して、警告およびアラームの上下しきい値に合わせて調整できます(非アクティブ、低、中、高)。これにより、警告やアラームの誤発報を回避できます。
チケット処理ルール
この機能を使用して、警告またはアラームがトリガされた後に何をすべきかを簡単に定義できます。
- メール通知
- SAP統合
計算値
moneoは、センサのプロセス値に加えてポンプの動作時間も記録します。この機能は「動作時間カウンタ」テンプレートを使用して迅速かつ簡単に実装できます。
動作状態を記述するデータソース②が必要です。次の例では、速度を使用して、次のしきい値③が設定されます。
- <50rpm、ポンプはオフ
- >=50rpm、ポンプはオン
- 動作時間カウンタの名称
- Data source
- しきい値
- カウントプロセスの現在のカウンタ値/開始値(単位:時間)