BEUMER – 手荷物搬送システムの3D保安検査
3Dセンサによる荷物の位置制御とサイズ測定
夏は旅行のピークシーズンです。毎年この時期に繁忙期を迎える世界中の空港では、最大効率化が重要な課題になります。膨大な数の荷物を早く・確実に処理してタイトなフライトスケジュールを守らなければならない上に、預けられた荷物はチェックインから機内に搬入されるまでの距離が何キロメートルにも及ぶ場合もあります。フライトの遅延は精神的な苦痛や時間の浪費を伴うばかりか、多額のコスト損失が発生します。BEUMERグループの高速荷物ハンドリングシステムを最大限に効率化し、エラーのないパフォーマンスを支えているのは、ifmの3Dセンサです。
BEUMERグループの個別搬送システム autover®は、日々発生する荷物ハンドリングの課題に対して、最適なソリューションを提供します。同社の製品であるワイヤレス給電駆動式スマート搬送車のBEUMER autoca®がパッシブレールシステム上を走行し、検査済の荷物を安全に正しい目的地へ搬送します。BEUMER autover®はすでに、ドバイ・モスクワ・ニース・グダニスク・モントリオール等の主要ハブ空港での導入実績があります。また、デンバー空港とロンドンのスタンステッド空港も導入予定で、近く運用が始まります。
「当社のシステムは各搬送ポイントで1時間に900個の荷物を高速処理します」とBEUMER グループHLCのソフトウェアエンジニアであり、BEUMER autover®の継続的な改良を担当しているMichael Baumeister氏は言います。何百台ものBEUMER autoca®が、最高秒速10mの速度で急カーブや最大18°の急傾斜や長い直線部分のあるジェットコースターのようなレールシステムを同時に走行でき、乗客のスーツケースやバッグ、大型の荷物を搬送します。「各搬送車に1つずつ荷物を載せ、移動を100%追跡できます。」
荷物を最適配置
確実な追跡に加えて、次に重要なことは荷物が正しく載せられていることです。チェックインした荷物は、コンベアベルトでBEUMER autover®システムに運ばれます。BEUMER autoca®キャリアでピックアップする前に、コンベアベルトの上部に設置されたO3Dカメラが各荷物を検出して測定します。このカメラはタイムオブフライト式で動作します。これと似たレーザースキャナは1つの受光素子(画素)で測定することに対し、O3Dカメラは2万3千個の画素が1つのマトリクスとしてチップ上に配列されています。これにより、カメラは1回の撮影で物体やシーンを3次元的に検出できます。
光電式検出でBEUMER autover®のパフォーマンスを向上
「カメラを使って荷物の3辺の大きさ(奥行・幅・高さ)が許容サイズ内に収まっていることを確認します」とBaumeister氏は言います。「なぜなら、許容サイズの上限に達する荷物が高速でコーナーなどに差し掛かかった時に倒れると、荷物の3辺の位置が変わってしまいます。搬送システムに合流する前にスーツケースが直立しているかなど、荷物の位置の判断は重要です。ifmのO3Dカメラにより、荷物を積載する前にこれを確実に検出できます。直立状態のスーツケースを検出した場合は、空港の担当スタッフに指示してスーツケースを正しく横向きの位置に直してもらうか、あるいは倒れないよう、BEUMER autoca®がコーナーを曲がる時などに搬送速度を調整します。」
写真1(左):3D検査:2万3千個の画素により荷物を3次元的に表示します。写真2(左):ifmの3Dカメラ、O3D302は2万3千画素の分解能でシーンを一瞬で検出します。
Michael Baumeister氏とそのチームは、ifmのO3Dカメラの非常に正確な認識・測定に加え、画像分析の機能に満足しています。「ライトグリッドを使っても理論的には位置検出は可能です」と、Baumeister氏は言います。「しかし、3Dカメラには決定的なメリットがあります。撮影画像を一時保存できるため、万が一乗客や空港側から苦情があった場合に役立ちます。BEUMER autover®に荷物が送り出された時間と状態が秒単位で検出できます。また、荷物の寸法と位置も保存します。他にも、カメラのパラメータ設定と画像データの診断をifm Vision Assistantを使用して簡単にでき、測定した荷物の2Dと3Dによるさまざまな表示が可能です。これにより、警告メッセージを分析して管理システムを継続的に向上できます。」
Baumeister氏は、ハンドルが伸びたままのスーツケースが搬送されるなど、通常起こりえない状態も、光電式検出システムにより今後はより確実に分かるようになると言います。「チェックイン時に一通り監視するため、このような事態が起こることはめったにありません。しかし、万が一こうした事態になればシステムに荷詰まりが起き、ハンドリング処理を遅らせてしまう可能性があります。このような稀なケースも絶対に回避したいのです。」
結論
BEUMER GroupはifmのO3Dカメラを使用して、コンベアベルトからキャリアシステムへ荷物が移動する搬送の重要箇所で正しい配置を確認し、スムーズな荷物処理を行っています。完璧なコントロールで高効率な旅客手荷物搬送を実現しています。
荷物の位置は、ifmのVision Assistantで2D画像を使用してチェックできます。カメラは距離とグレースケール画像も提供します。