Feldbinder – Silo 4.0:バルク輸送の高効率化
Feldbinderが取組むバルク輸送車のデジタル化
長年、物流・運送業では熟練労働者が不足しており、その影響が現在も続いています。トラックドライバーは高い需要があり、人材獲得競争に勝つためには、企業が快適な労働環境を提供できることが大きな条件となります。車載設備が整った車両を提供するだけでなく、輸送貨物の取扱いを簡素化・効率化することも快適な労働環境につながります。ドイツのヴィンゼン(ルーエ)で運輸車両を製造・販売するFeldbinderも、こうしたイノベーションに向けたアプローチに取組んでいます。1975年に設立したバルク輸送車メーカーの同社は、2018年に組織を挙げてデジタル時代への移行を目指すSilo 4.0プロジェクトを立ち上げました。
輸送業務の負担を軽減
「当時、市場の意見を調査し、当社が運送会社様に貢献し、運送作業をより快適にできる車両とは何かを考えていました」と、Feldbinderでバルク輸送車とSilo 4.0プロジェクトの新車両設計を担当するMichel Jörn氏は振り返ります。「これはもちろん、ドライバーの日常業務をサポートして負担をできる限り軽減することでもありました。」そこからバルク輸送車をデジタル化するアイデアが生まれ、オートメーションのエキスパートであるifmのサポートにより実現できました。「ifmとは既に取引があり、他のプロジェクトで協働していたので、Silo 4.0もifmの専門知識が活用できると考えました」と、Michel Jörn氏は言います。「ifmの多彩な検査手法が、ハードウェアだけでなく車載アプリケーションに必要な認証や認可の取得に必要だと確信していました」
輸送作業を一元制御
従来のバルク輸送車にない、Silo 4.0のメリットは何でしょうか。「従来の輸送作業では、ドライバーが車から降りて積荷の搬送出と換気システムの遮断装置の開閉操作を行っていました」と、Michel Jörn氏は言います。「当社の車両は、デジタル化により制御を一元化しています。タッチディスプレイやその下のコントロールパネルからドライバーが操作できます。」
静電容量式の12インチタッチスクリーンに設定可能な操作ボタンを備えたecomatDisplayは、運転席の内外に取付けて使用できます。また、高性能コントローラを搭載し、CODESYSで別途プログラミングが可能です。Feldbinderは、このディスプレイにecomatPanelを追加しました。「ボリュームつまみで様々な操作を行い、バルブをある程度開けて内容物を送出する場合など、微調整が簡単にできます」と、Michel Jörn氏は説明します。「また、タッチディスプレイのすべての操作をこのパネルでも行うことができます。特に、手袋を外さずに操作できる点はとても便利です。」
デジタル化されたバルク輸送車がドライバーと企業の負担を軽減し、快適・安全・効率的な作業環境を実現します。
将来に向けて:見える化と効率化の実現
サイロトレーラー4.0は、バルブの開閉、メインエンジンやセカンダリステアリングの起動・停止、速度制御など、すべてデジタル操作が可能です。こうして、非常に快適で効率的な作業を実現しています。
バルク輸送車に搭載したハードウェアやソフトウェアの接続も簡単です。「ディスプレイには4本のCAN回路をコントローラに接続でき、メニューに従ってサイロトレーラー4.0の各機能を選択できます」と、Michel Jörn氏は言います。CAN回路は、リニアドライブとリモートコントロール用と、CR2042のioControlモジュール用にそれぞれ接続します。分散制御型のioControlモジュールは、圧力レベルや充填レベル等を監視するセンサが収集したデータを、プリワイヤ式CANバスケーブル接続でコントローラに信号を伝送します。このI/Oモジュールは、コントローラからのコマンドを接続したアクチュエータに伝送することもできます。Feldbinderのソリューションでは、ioControlモジュールによりバルブを制御します。小規模なアプリケーションでは、プログラミング可能な小型コントローラとしても使用できます。
ioControlモジュール(DEUTSCHコネクタ接続):コントローラへの情報伝送とアクチュエータへのコマンド送信や、小型コントローラとしても使用できます。
簡単にミスなく接続できるM12コネクタ
Feldbinderのトレーラーは、車種や仕様に応じて最大5台のioControlをDEUTSCHまたはM12コネクタで接続します。「現在、DEUTSCHコネクタ接続タイプのモジュールを採用していますが、今後はM12コネクタのバージョンにする予定です」と、Michel Jörn氏は言います。「標準規格の接続のため、間違わずにケーブル配線が簡単にできます。これにより、従業員に電気の専門知識がなくても誰でもセンサを配線でき、技術者は専門知識を求められる自分の仕事に集中することができます。」
インテグレータから高く評価されたifmのソフトウェア
Feldbinderのソフトウェア開発は、システムインテグレータのReinholz Software and Technologyが担当しています。「長年の協働の経験から、ifmのハードウェアはよく分かっています」と、Reinholzの車両オートメーション責任者である、Pascal Kaufmann氏は言います。同社でソフトウェアを開発するThorben Oltmann氏は、次のように言います。「FeldbinderのSilo 4.0プロジェクトのソフトウェアの開発要件は特殊で、モジュール式ソフトウェアをFeldbinderがバルク輸送車両別に、CSVをインポートし固有の機器と設定を定義できるというものでした。プロジェクトの実行は、ifmがコントローラ用に提供しているソフトウェアライブラリも活用しました。このソフトウェアブロックにより、ソフトウェア全体のプログラミング工数を大幅に削減できます。まず、複雑な機能も多いプログラミングにリソースを割く必要がなく、ソフトウェアの各要素を一貫検証し
ハードウェアのコンポーネントとの通信がシームレスに機能します」
将来に向けた最初の一歩
快適な職場環境を提供し、作業を効率化する運輸業のデジタル化は進んでいるのでしょうか?「Feldbinderの最新車両を一度でも導入したら、新機能を搭載していない従来の車両に戻したいとは、誰も思わなくなるでしょう。ドライバーと運送会社にとって重要な点は、作業の負担軽減と作業時間の短縮です。」こうして、将来に向けた最初の一歩が踏み出されます。しかし、Michel Jörn氏は、ここがゴールではないと考えています。「Feldbinderは、新たな可能性を広げようとしています。お客さまの作業負担をさらに軽減し、作業環境の向上までサポートしたいと考えています」例えば、CR3158 GPSモジュールを導入した車両位置情報の正確な把握も、現時点ですでに可能です。「積卸しのポイントが複数あっても、間違えることがなく、コストと時間のムダを防ぎます。」将来的には、バルク輸送車のプロセスデータ活用による輸送の品質管理のサポートも予定しています。「アンロード圧の記録、無負荷率の制御、タンクの蓋やバルブ開閉の電子制御など、すべてに位置情報とタイムスタンプを付けたログデータ管理を行います。」
出荷前の最終組立検査:将来、バルク輸送車のデジタル化が貨物輸送管理を効率化します。
結論
ハードウェアとソフトウェアを適切に組合わせたデジタル化により、クラウドを利用した情報共有が可能になります。こうしたプロセスの見える化で、輸送・荷役作業の効率化が実現します。その結果、輸送会社とドライバー、そのお客さまを含め全体に大きな利益が生まれます。