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フラウンホーファー研究機構 – EV用電池製造の効率化

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アプリケーションレポート

ifmの2D形状認識センサDualisを使った電極製造工程の監視

世界中で現在、電気自動車(EV)技術の激しい研究・開発競争が行われています。国際エネルギー機関(IEA)が発表した世界の電気自動車の展望では、2020年に5%にも満たなかった新車販売におけるEVのシェアは、2023年には18%まで増加するとの見通しが示されています。
ただし、このようにEVへの完全移行が想定通りに実現するためには、1つの条件が求められます。それは、EV用の高性能電池の生産能力の急速な向上です。欧州最大の科学技術分野における応用研究機関である、ドイツ・フラウンホーファー研究機構のバッテリーセル生産研究所(FFB)では、新しいEV用高性能電池の開発を進めています。

欧州は、EVの普及に向けた目標を掲げています。将来のEV用電池市場での競争力を確保するため、EUは2030年までの早い段階での製造能力の大幅な向上を目指しています。また、こうした目標には、不良率を5%未満に抑制することも含まれています。フラウンホーファーFFBの製造技術研究員であるFabian Kux氏は、この意欲的な取り組みについてこのように説明します。「世界のEV用電池製造のプロセスチェーン全体においても、不良率は依然高止まりしています」最適な製造が行われている工場でさえ、製造全体の約10%が廃棄になります。将来的には増産が見込まれ、この割合はさらに高くなる可能性もあります。「そのため私たちは、革新的で高効率な電池製造技術の開発を加速させることを目指しています」と、Kux氏は言います。

自動化に詳しいifmに相談し、Dualisで3つのアプリケーションが実現できると分かりました。

Fabian Kux氏 独フラウンホーファー・バッテリーセル生産研究所(FFB) 製造技術研究員

お客様の概要

2021年に独フラウンホーファー・バッテリーセル生産研究所(FFB)は、ミュンスターにある障がい者・高齢者向け職業訓練施設Alexianer Werkstätten内に電極製造研究施設「FFBワークスペース」を立ち上げ、インクルーシブな研究開発に取り組んでいます。フラウンホーファーFFBが進めるEV用電池の電極製造技術の研究では、ifmの形状認識センサが工程の最初に導入されています。

自動化に詳しいifmに相談し、Dualisで3つのアプリケーションが実現できると分かりました。

Fabian Kux氏 独フラウンホーファー・バッテリーセル生産研究所(FFB) 製造技術研究員

お客様の概要

2021年に独フラウンホーファー・バッテリーセル生産研究所(FFB)は、ミュンスターにある障がい者・高齢者向け職業訓練施設Alexianer Werkstätten内に電極製造研究施設「FFBワークスペース」を立ち上げ、インクルーシブな研究開発に取り組んでいます。フラウンホーファーFFBが進めるEV用電池の電極製造技術の研究では、ifmの形状認識センサが工程の最初に導入されています。

2D形状認識センサによる品質管理

FFBは、以前から自動化技術が重要であると考えていました。「センサを活用し、製品品質の向上と製造工程の効率化に貢献する技術の開発が私たちの研究の最も重要なポイントです」Kux氏が率いるチームは、ifmとの共同プロジェクトの枠組みで2D形状認識センサ Dualisを使った電極製造技術の可能性等についての実証試験を行っています。Dualisは、対象物の輪郭と表面の実際の状態を検出し、目標となる良品仕様と比較します。これにより、固定金具の抜けやねじ山の変形等のわずかな違いを正確に検出できます。また、具体的な事例では、電極材料をペースト状に調合したスラリを金属箔に塗布した、塗工の表面積を分析することもできます。形状認識センサは、正確に塗工量を測定して正しくない場合にエラーメッセージを送信します。これにより、プロセスを修正して不良率を抑制し、製造工程の高い品質が維持できます。形状認識センサは、簡単な操作で導入することができます。無料で提供されているifm Vision Assistantソフトウェアを使って、ウィザードに従い数クリックで、2D形状認識センサのほとんどのアプリケーションのパラメータを直感的に設定できます。

Dualisで実現する3つのアプリケーション

Kux氏はこう言います。「自動化に詳しいifmに相談し、Dualisで3つのアプリケーションが実現できると分かりました。1つは、金属箔の表面に塗工した電極スラリの欠陥検出です。金属箔の異物や塗工漏れは電池の安全性・性能低下につながるため、必ずその部分を見つけて廃棄しなければなりません。それと同時に、2つ目のアプリケーションとして塗工面積を検査します。塗工工程では金属箔の幅を連続測定します。また、断続的に長さも測定します」

電極製造でスラリの塗工量を検査するO2D5形状認識センサ

EV電池製造工程の最初に、形状認識センサDualis(O2D5)でスラリの塗工量を監視します。フラウンホーファー研究機構は両面塗工の監視も研究しています。

常に正確な巻取り工程

両面塗工の場合は、Dualisをもう1台設置して金属箔を下からも検査します。

「この場合、要求品質を確保するために、両面の塗工の厚みが均一でなければなりません」3つ目は、Dualisによる塗工した金属箔のエッジ部分の検査です。「金属箔に塗工したスラリの水分を乾燥させます。塗工・乾燥が終わると電極箔をロールプレス機に巻き取ります。均一に調整しないと、電極箔と塗工部分に傷がついてしまいます」

デジタルツインからバッテリーパスポートまで対応

形状認識センサは、早期に不良を抑制したり、品質を確保する以外にもデータを活用できます。2026年からEUでは、EV用電池製品に電子上の記録「バッテリーパスポート」の実装が義務化されます。バッテリーパスポートには、電池製造の調達や原材料・リサイクル材の使用に関する情報の他に、性能や状態に関する情報も記録されます。「センサが記録した製造プロセス全体のすべてのデータを、デジタルツインに転送できます。そのデータから、バッテリーパスポートを簡単に作成できます」

パートナーシップの成功例

フラウンホーファーFFBの研究は、まだ新しくこれからも発展を続けます。将来的にミュンスターの研究施設は、量産が可能な産業規模の生産能力まで拡大する予定です。「この施設は、EV用電池の新技術を実際の製造条件で実証でき、パートナー企業との産学連携で量産への応用を目指します。そのためifmとの協業は、電池製造技術の実証試験や最適化・拡大を、将来パートナーと連携して行う場合の良いモデルケースになります」

結論

ifmは、フラウンホーファー・バッテリーセル生産研究所(FFB)とパートナーシップを構築し、2D形状認識センサ Dualisを使ってEV電池用の実際の電極製造の環境の実証試験を行うことができました。その結果得られた知見は、将来大きな役割を果たします。フラウンホーファーFFB・ifm・電池製造メーカーを始め、EV産業全体での活用が期待されます。

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最新の成功事例

ifmのソリューションによってお客様がどのようにコスト削減に成功したかを、各産業におけるアプリケーションレポート・ケーススタディ・事例動画でご紹介します。製造効率化と機械性能向上も同時に実現します。