GeTech – センサを利用したパイプ検査治具
曲がりを完全に測定
航空機や自動車に使われるホースは、オイルや燃料、クーラントなどの液体を供給する非常に重要な部品です。これらの部品は、狭いスペースに収納された装置や容器を効率的に接続するために複雑に曲がった立体的な形状をしています。すべての部品の完璧な組立・接続を確保する品質管理では、効率的な品質検査が欠かせません。実際に取付ける前に、特殊な検査治具を使って部品の曲げや長さが設計仕様に適合していることを確認します。こうした検査を経て初めて、車体や機体に問題なく組み込むことができ、複雑な形状のホースの耐久性と効率・機能が確保されます。
オランダのヴェステルボルクにあるGeTechは、こうした複雑な形状のホースなどの検査に使う検査治具を開発・製造・販売する企業です。
GeTech社長のAlco Poppinga氏は、次のように説明します。「当社は、自動車産業や航空・宇宙産業向けにパイプ用の測定ゲージや検査治具を製作しています。実際の車体などに組み込む時と同じように、被検査品のホースを当社の検査治具に取り付けます。こうして、設計仕様書の寸法公差に収まっているか、早く確実に部品を検査することができます」
GeTechは、測定ゲージ・検査治具を社内のCADラボで開発しています。ロボット支援による最新の工作機械製造プロセスも導入し、社内の測定システムで精密な検査が行われます。
Alco Poppinga氏は、次のように言います。「当社は、お客様の高い期待に応える検査治具を製作しています。現在、当社ではロボットによる自動化を進めています。これによって生産を効率化できます。」
検査治具はそれぞれ、被検査品のホースの形状に合わせて製作されます。このため、アルミのブロックをアルミのベース上に並べて取り付けます。これらのブロックでワークを支持します。数分の1ミリの精度で高さと方向を計算します。ブロック上部の溝加工により、被検査品のパイプやホースに張力をかけずにしっかり取り付けられるようになっています。
また検査治具は、オプション提供しているモジュール式のGeTech製品検査システム(GPI)に統合することも可能です。このシステムは、センサ・ダイアログディスプレイシステム・制御機器から構成されます」
Alco Poppinga氏は、GPI検査プロセスを次のように説明します。「ユーザーがRFIDチップを使ってシステムにチェックインすると、正しい試験手順を自動的に読み込みディスプレイに表示します。検査治具にホースを挿入してクランプを閉じるなど、すべてのステップをウィザードの指示に従って進めることができます。」
RFIDチップを使ってシステムにチェックインします。ユーザーや実施したプロセスの情報を記録します。
センサでプロセスを監視
センサを専門とするifmのさまざまな製品を使用して検査プロセスを監視します。例えば、トグルクランプに取り付けられた高周波誘導式近接センサは、対象のレバーがすべて閉まっていることを確認します。そうしなければ、検査ステップを次に進めることができません。もっと小型のIY高周波誘導式近接センサも使われています。例えば、フラップに埋込取付されたこのセンサは、製品が正しい位置にあることをコントローラに伝送します。コンパクトなM5接続で取り付けられ省スペースです。
光電センサは、ホース先端にあるOリングなどの部品の有無を検出します。このアプリケーションでは小形のO8H拡散反射型センサを使い、小さいスポット径で長距離を検出します。
また、対象物の輪郭を検出して、検査プログラムに設定された基準ターゲットの輪郭と比較するO2D形状認識センサも重要な役割を果たします。寸法公差から外れた値は欠陥として認識します。
Alco Poppinga氏は、次のように言います。「エアコンのチャージバルブの検査に、ifmの形状認識センサを使用しています。この部品の接続口のサイズは、国によって違う場合があります。ビジョンセンサが輪郭を検出し、その国の規格に合った正しい取付になっているか確認します。」
検査に合格すると、ホースの決められた位置にバーコード付きのラベルが貼られます。ifmのマルチコードリーダは、ラベルの種類と貼り付けた場所が正しいかを検査します。そして完成品として承認されるとロックが解除され出荷されます。
写真1(左):光電センサで治具のホースを検出します。品質検査にすべて合格するとロックが解除されます。
写真2(左):国によって違うチャージバルブの形状をifmの形状認識センサで検査します。
写真3(左):高周波誘導式近接センサでトグルクランプの位置を検出します。
モジュール式のデザイン
測定システムのセンサ設定は、特定の製品の試験要件によって異なります。
Alco Poppinga氏は、次のように言います。「GPIは、ワークステーション式で接続するだけで検査冶具が交換できます。レバーとクランプは、多くのセンサが取り付けられています。形状認識センサやマルチコードリーダは、ワークステーションに設置したままifmの無料ソフトウェアVision Assistantでアプリケーションに合わせてすぐに設定を変更できます。これは、測定ゲージの製造コストを節約できるため、お客さまにもメリットがあります。」
写真1(左):ウィザードに従ってすべてのプロセスを進められます。このため効率的にミスなく試験手順が実施でき、検査治具の交換準備が簡単です。
写真2(左):形状認識センサのようなさまざまなセンサを、モジュール式で各種検査ゲージに接続できます。そのためコストを削減できます。
ifmとのパートナーシップ
GeTechは、ifmのセンサとダイアログディスプレイを導入しています。Alco Poppinga氏は、GeTechが工業用センサを品質管理にも使用している理由を次のように説明します。「2016年に当社のあるお客さまから、チューブの部品が無いというクレームを受けたと相談されました。一緒に問題を分析し、センサを導入することを思いつきました。ifmとは、同じ年に展示会で会いました。当社のお客さまの課題を伝えると、ifmで解決できるとすぐに分かりました。私たちのアイデアが、ifmのセンサと制御機能付きディスプレイで実現しました。ifmの製品を使った検査治具の脱着が簡単なステーション式のGPIが完成しました」
検査冶具を使って立体的に曲げられたエアコンホースを品質検査します。
被検査品の自動車用エアコンホース
結論
ifmのセンサは、複雑な形状のホースの品質管理に貢献しています。手作業の検査で見落とされがちな欠陥を確実に検出します。操作しやすいダイアログシステムにより、検査の効率化を実現して高い製品品質を保証します。