GKN Aerospace社 - 乱流のないエンジン生産
高精度の金属加工向け工作機械
GKN Aerospace社は世界をリードする、航空宇宙テクノロジ向けクロステクノロジのサプライヤです。同社は15か国に50の生産拠点を持ち、世界の航空機およびエンジンメーカの90%以上を供給しています。航空宇宙向けに画期的でインテリジェントなシステムとテクノロジを開発および製造しており、貨物輸送機や世界最大級の旅客機などで使用されています。同社は宇宙テクノロジにも取組んでいます。たとえば、よく知られているアリアン5のロケットノズルを製造しました。
GKN Aerospace社は航空宇宙産業向けにエンジンコンポーネントを生産
GKN社の産業用IoTエンジニアのMikael Alm氏は、次のように述べています。「当社は航空機エンジン向けのコンポーネントを生産しています。私の部門、ND Digitalでは、高精度工作機械に取組んでいます。センサの助けを借りて機械を監視し、すべてが完璧に機能し想定外のことが起きないようにしています。完璧な生産プロセスを確保するため、さまざまなセンサを使用しています。約3年にわたって、ifmの振動センサを使用しています。センサは工作機械のスピンドルを監視しています」
金属加工には、コンピュータによって完全自動化されたさまざまな操作があります。フライスヘッドは、高い回転速度で金属内を押し進みます。切削ツールはマイクロミリメータの単位でシャフトを製造し、ドリルは正確なドリル穴を開けます。このようにして、航空機タービン向けの高精度コンポーネントは、非常に短い期間で製造されます。
障害やトラブルのないワーク加工を確保することが重要です。高い製品品質を常に保証するには、この方法しかありません。加工速度が速くプロセス力が大きいため、ツールに生じている損傷や、加工中の衝突を直ちに検出し、プロセスをすぐに停止して機械やワークへの損傷を防ぐ、迅速に応答する診断システムが必要です。恒久的な振動診断が、理想的な手段であることが実証されています。
ツールとワークの保護のための十分なクーラント
非常に小さいアンバランスからミスを検出
このシステムで最も重要な点は、センサのスペシャリストifm electronicの、非常に高感度で信頼性の高い振動センサがスピンドル外装に直接取付けられていることです。VSA型の振動センサは、回転しない機械面の振動を継続的に検出する、小型のマイクロメカニカル加速度センサです。
写真1：常時監視：スピンドルに直接設置されたifmの振動センサVSA004。写真2：VSE100増幅器は非常に小さな逸脱も検出し、リミット値を超えた場合は信号を送ります。
VSAは非常に感度が高いため、フライスヘッドに生じた損傷が1ミリと非常に小さな場合にも、発生するアンバランスにより異常を検出します。たとえば、ドリルの劣化や多すぎる切屑などにより起きる切削力の変化を検出し、振動特性の変化という理由で診断増幅器に報告されます。GKN社で使用している増幅器は、ifm製のVSE100です。最大4台の振動センサからの信号を処理し、障害の場合には警告や機械停止をトリガできます。データは上位のコントローラにEthernet経由で伝送されます。
振動および衝突検出用のリミット値は、プロセス内の各ツールおよびステップ毎に機械コントローラに保存できます。それを前もって決定するために、ティーチモードでプログラムサイクルが実行されます。各振動データと調整可能な許容範囲の値は、ツール毎にコントローラに保存されます。加工中にこれらの値を超過した場合はエラーと解釈され、振動の振幅に応じて警告メッセージが提供されるか、機械が停止します。
もう1つの保護機能は、スピンドルの状態監視です。複雑なスピンドルメカニズムのベアリングの摩耗は、通常と異なる振動特性をもとに検出し通知されます。これにより、安全性がプラスされます。
その他のセンサ：
評価システムには2つのアナログ入力があり、そこに測定パラメータ監視用の追加のセンサを統合できます。GKN社は多くのPN7圧力センサを使用して、冷却パイプ内の圧力を常に制御しています。圧力降下により、冷却プロセスが停止してツールとワークが損傷することがあります。そのため、動作圧力が低すぎる障害が発生すると、センサが通知します。
GKN社はすべてのセンサをAS-iバスシステム経由で中央コントローラに接続しました。2線式フラットケーブルが、最大127台のセンサ信号を、AS-i IOモジュールを経由してAS-iマスタに伝送します。バス配線により、ケーブル配線のコストが大幅に削減され、設置の柔軟性が高まります。
写真1：圧力センサは冷却回路内の圧力を監視します。写真2：省配線：AS-iモジュールはセンサデータを収集して、2線式バスケーブル経由でコントローラに伝送します。
評価
GKN社はSMARTOBSERVERを使用して、機械の状態を監視、解析します。このソフトウェアは、ifmが設備の状態監視用に開発しました。センサのすべての測定値がここに集まります。このソフトウェアは、すべてのプロセス値とそのリミットの表示に加え、傾向分析などを作成し、生産プロセスの最適化を支援します。
Mikael Alm氏は、「当社にとって、生産プロセス中に何が起きているのかを理解することは非常に重要です。当社の製品は非常に高価で、プロセスが完全に正しくないときには改良できなければなりません。SMARTOBSERVERから収集したデータは当社独自の解析ツールで使用できるため、正確に評価して適宜対応できます」と説明します。ifmソフトウェアの広範なアラーム管理により、機械の状態に基づくメンテナンスが可能になります。
透明性と最適化のために：SMARTOBSERVERソフトウェアは、すべてのセンサデータを収集、視覚化、分析します。
結論
センサとSMARTOBSERVERの助けを借りて、工作機械を自動的に確実に監視できます。障害が適時に検出されるので、状態に基づいた計画的なメンテナンスが可能です。これによりコストを削減できるだけではなく、最大レベルの稼働率と最高レベルの製品品質が確保されます。
Mikael Alm氏は、次のように締めくくりました。「長年にわたってこのタイプのメンテナンスに携わってきましたが、これは想定どおりに機能します。ifmのセンサとソフトウェアを組合わせたソリューションは、現在はもちろん、将来的にも、当社の機器を理解して改良するのに役立ちます。ifmは優れた顧客サポートを提供し、常に当社の問題へのソリューションを見つける協力をしてくれます」お客様との緊密な協力は、ifmのスローガン、「ifm close to you」にも表れています。