KNAPP – 自動走行ロボット向け3Dカメラステム
カメラによる走行制御
自律走行ロボット向け3Dカメラシステム
世界中で持続可能な技術が急速に変化し進歩していく中、その流れに取り残されないためには物流プロセスを見直す必要があります。オーストリアのKNAPP AG社の子会社であるKNAPP Industry Solutionsは、ifmの高性能3Dカメラ技術を採用した最先端の自律走行ロボットにより、トップランナーとして物流業界に新しいスタンダードを確立しています。
KNAPPは、オーストリアのハート・バイ・グラーツにあり、物流に特化したソリューションのカスタマイズ開発を得意とする会社です。
「お客さまのバリューチェーン全体を、プロセスの自動化とデジタル化の推進により支援します。当社は、食品・ファッション・小売・卸売・製造業などの対象産業別に事業を展開しています。Industry Solutionsは、その中で製造業向けに自律走行ロボットOpen Shuttleを開発しています」と、Shuttle制御ソフトウェア開発チームリーダーのPhilipp Gotzmann氏は説明します。
これは、複数の製造現場や倉庫エリアへ商品を自律輸送します。重いパレットから小さい荷物・段ボール箱まで、幅広いアプリケーションに対応します。
Open Shuttleは、決まったルートを走行するAGV(無人搬送車)などとは違う、AMR(自律走行ロボット)に分類されます。AMRは、出発地点から目的地へのルートを固定しないで柔軟に移動できるという特徴があります。
そして、AMRは配置や手順の変更に素早く適応できます。そのため、新しい作業や環境の変化にも対応し、短時間でセットアップできます。必要に応じて導入規模を簡単に拡大・縮小できる適応性があり、長期的にコスト効率の高いソリューションを提供します。
自律走行では、高い信頼性で周辺環境を常に3Dで検出できることが、人・物との衝突を回避するための重要な要素になります。
O3Rカメラシステムの用途
この高い柔軟性の実現に貢献したのが、自動化を得意とするifmが開発した3Dカメラ技術です。高性能カメラシステムO3Rを搭載したOpen Shuttleは、物体を3次元で正確に検出して倉庫の中をシームレスに安全に移動できます。
この他に、経路上に出たフォークリフトのツメなどの物体も検出できます。また、3D監視によりゲート通過などが確実に分かります。
O3Rシステムは、フォークリフトタイプのOpen Shuttle Forkにも導入され、パレットなどの搬送物検出に使われています。ハンドフォークリフトによる運搬でわずかに位置がずれた搬送物なども、このシステムによりピッキングすることができます。
3Dセンサを使い、搬送物を測定して精密な位置を検出し、正確な誘導でピッキングすることができます」と、Philipp Gotzmann氏は言います。


写真1(左):Open Shuttle Forkのツメ上部に搭載された3Dカメラが、非接触でパレットを検出して正確な誘導とピックアップを実現します。
写真2(左):パレットの位置と向きを3DカメラO3Rで正確に検出・誘導し、パレットをスムーズに運搬できます。
ifmが選ばれた理由
同社は最適な3Dソリューションを求め、開発者指向で設計の自由度が高いifmの技術を採用しました。
「ifmのソリューションに決めた時は、まだフィールドテストの途中でした。複数の小型カメラヘッドと連携して収集した画像・認識情報を、高性能画像処理ユニットで一括して処理でき、ソフトウェア開発の内製化に対応できるコンセプトが採用の理由でした。
KNAPPにとって、障害物・搬送物の3D検出を含むシステムの開発・設計を自社で行うことは非常に重要です。」

写真1(左):倉庫物流用自律走行ロボットOpen Shuttle写真2(左):O3Rカメラは、2D/3Dカメラを組合わせて環境認識を行います。
ターンキーシステムではなく、パートナーと連携して優れた製品コンセプトを自社独自のアルゴリズムとプロセスで開発できるソリューションを探していました。これにより、自社で管理・変更を臨機応変に行うことができます。
O3Rシステムのメリットの一つは、非常に開発者指向の充実したドキュメントが用意されていることです。ifmは、カスタムソフトウェア開発用ライブラリと、ROSドライバなどの統合環境も提供しています。これは、本当に素晴らしいと思います。また、ifmと質の高い協力ができることも大きなメリットです」と、KNAPPのPhilipp Gotzmann氏は言います。

フォークリフトタイプのOpen Shuttle Forkは、標準規格パレットやラック、特殊な形状の搬送物を運搬するフォークリフトタイプの自律走行ロボット(AMR)です。
高性能カメラシステム
ifmのO3R画像認識プラットフォームは、自律走行ロボットなどの車両から収集した画像と認識情報を、同期して一括処理を行う総合的なソリューションです。
システムのコアとなるのが、高性能画像処理ユニット(VPU)です。yocto-Linux対応、DockerベースでPython、C++、CUDA、ROS等のオープンソースの開発環境をサポートしています。
VPUは、最大6台のカメラヘッドの画像認識情報を同期して一括処理し、センサフュージョンにより2D LiDARセンサなどの重要なセンサ情報と統合して信頼性の高い高度な環境認識能力を実現します。これにより、効率的な経路を選択して車両を誘導できます。


写真1(左):O3Rシステムのコアとなる高性能画像処理ユニット(VPU)。最大6台のカメラを接続できます。
写真2(左):視野角度60°のO3Rカメラで進行方向を、視野角度105°のカメラで車高全体のエリアをカバーします。
最大6台のカメラに接続して360°全方位をシームレスにカバーできます。3Dカメラもプラットフォームソリューションに含まれています。60° x 45°または105° x 78°の視野角度に対応し、高度なPMDタイムオブフライト技術を使用しています。
強い周囲光や干渉信号が多い環境でも、特許取得の符号化変調技術により信頼性の高い障害物検出が実現します。カメラは、3D画像の点群と2D画像の周囲データを組合わせて画像を生成します。
カメラとセンサが連携し、衝突防止・位置推定・誘導・位置決めなどの重要機能に優れた性能を発揮します。
カメラヘッドの1台は、視野角度が60°です。このカメラは、進行方向のエリアをカバーして、最適な照射と反射が得られるタイムオブフライト技術により監視できます。
また、視野角度が105°のカメラヘッドも搭載されています。このカメラは、積載した荷物の最大揚高まで車高全体をカバーできます。これにより、安全なゲート通過などが実現します。
また、フォークリフトタイプのOpen Shuttle Forkには、パレット検出用のカメラも設置されています。これを使って、フォークリフトのツメをパレットのポケットに正しく誘導する精密な位置確認を行います。複数のカメラヘッドと1台の高性能画像処理ユニットを組み合せて、コスト効率の高い監視が実現できます」

O3Rシステムは、1台の画像処理ユニットと最大6台の接続が可能なカメラヘッドで構成されます。