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Modbus TCP通信機能搭載の電力計を使ったmoneo RTMによる消費電力の測定・表示・分析

効率化
エネルギー 費用 サステナビリティ
ユースケース

製造業では、現場レベルで実行する地球環境の未来を考えた効率的で持続可能なエネルギー監視が注目されています。無効電流の発生情報を収集して、電力を適正化することはコストの削減にもつながります。このような課題を解決するために電力計を活用します。

消費電力の測定

センサの製造は、品質保証工程に入る前に組立作業エリアで機械的な仕上げが行われます。ここでは、作業のデジタル化や注文履歴のデータ管理への要求が高まっているため、IT機器の導入が増えています。工場の電力使用量全体の中でもこのような製造関連設備が消費する電力の割合は大きく、見過ごせない部分となっています。

初期状態

効率的な省エネとエネルギー使用の最適化を進めるためには、電力需要を細かく把握していなければなりません。電力会社は電力計により使用量に応じた電力料金を計算します。ただし、これだけでは、省エネ対策を実施してもその効果を十分に評価できていません。

  • さまざまな要因が影響する省エネ対策の効果は電力計ではほとんど分からない
  • エネルギー使用の最適化と省エネ対策の効果を相対的に判断できても絶対的な評価ができない
  • 省エネ対策の導入と同時に製造量が減少した場合等は明確な判断ができない
  • 有用な情報を見つけるために労力を費やして使用量を計算し直しても時間がかかるだけで無理がある

プロジェクトの目的

エネルギー使用記録のデジタル化

省エネとエネルギー使用の最適化対策は、製造の目的ごとに現場をエリア分けして、エネルギー使用量をデジタル化して追跡することから始めます。エネルギーの使用を見える化することが、省エネ意識を高めて慎重な電力消費行動を促し、コスト削減につながります。

moneo RTM使うことによりさまざまなことが可能になります。

  • プロセス/作業エリア別の電力使用量を測定
  • 電力使用情報のとりまとめ
  • さまざまな電力使用データの取得:
    総使用量
    ピーク電力量
    ベース需要/待機時の電力使用量
    非製造時の電力使用量
    無効電流と無効電力量
  • 対象エリアを絞り込んだ電力使用コストの計算

実装

LR Agentとmoneo RTMを使用したModbus TCP通信による電力使用量測定

組立作業エリアでは三相電力供給系統(L1・L2・L3)を使用しています。ここにModbus TCP対応の三相電力計を設置しました。LR AgentによりModbusの必要な各レジスタの読み出しを確実に行います。値の監視と分析をmoneo RTMが行い、コストを直ちに計算します。

その結果、

ベース需要の電力コストを認識して省エネ対策につなげる

moneo RTMを使った電力消費の見える化

  • 電力総使用量
  • 現在の電力使用状況
  • 三相電力供給系すべての現在の電圧・電流・電力量
  • 現在の無効電流と無効電力
  • 無効電流と無効電力量の合計
  • moneo RTMの計算値から総コストを計算
  • moneo RTMの計算値から現在のコストを計算

システム構成

  1. Siemens 7KT1260デジタル電力計
  2. LR Agent

ダッシュボード

  1. 現在の1時間あたりの電力料金+ 現在の電力需要
  2. 合計電力料金 + 総電力需要
  3. U相接続1(L1):電流・電圧・電力量の現在の実測値
  4. V相接続2(L2):電流・電圧・電力量の現在の実測値
  5. W相接続3(L3):電流・電圧・電力量の現在の実測値
  1. 全体の力率
  2. 総皮相電力(+/-)
  3. 総無効電力(+/-)
  4. U相接続1(L1):現在の力率・皮相電力・無効電力
  5. V相接続2(L2):現在の力率・皮相電力・無効電力
  6. W相接続3(L3):現在の力率・皮相電力・無効電力

分析

分析機能を使い、履歴データへのアクセスやさまざまなプロセス値の比較ができます。下のグラフは、電力使用量とコストを時系列で表したものです。

  • 週末(待機)①
  • 夜勤シフト②
  • 日勤シフト③

待機時間である週末のベース電力需要は0.3 kWで、1時間あたりの電力料金は約0.9セントになります。これだけ見るとわずかな印象を受けますが、年間では約2150*ユーロにも上ります。特に、このように積極的な省エネ対策が行われていなかったエリアは、電力需要の削減対策により大きなコスト効果が生まれる可能性があります。

下のグラフからは、昼夜の電力使用量の差も明確に読み取れます。例えば、平日は毎日24時間体制で製造する場合、電力契約をマルチタリフ制(昼夜間別の料金体系)にして、各シフトの作業スケジュールをそれに合わせて編成することにより、電力料金が削減できました。これにより、電力消費の大きいバインダー炉等の設備を電力単価の安い時間帯に集中的に稼動させ、高い時間帯での稼働を少なくすることにより電力料金が抑えられました。

* 週末1回あたりの非製造時間を46時間とする。
年 間 52週 に準じて週末を52回として算出
0.9€/h x 46h x 52 = €2,152.80

  1. 青 = 現在の電力使用量(値はほぼ同一)
  2. 白 =現在の1時間あたりの電力料金

計算値

電力計を使って測定したModbusレジスタの変数をLR Agentで読み取ってmoneoに記録します。この変数は目的の単位に換算されていない場合があります。一般的に電力はキロワット(kW)の単位で表されます。一方、SI単位系とレジスタではワット(W)を使って表します。データフロー機能を使用すると、入力した変数の単位(W)が目的の単位(kW)に変換できます。

  1. 有効電力(W)
  2. 定数:kWへの換算用の除数
  3. 除算
  4. 有効電力(kW)

診断・分析に用いたのと同様に、電力使用量の値を使って電力料金を計算します。これは通常、電力会社が時間単位のkW量で請求するものです。この計算の基礎となるパラメータは、前述のデータフローで使ったkW/時に換算した電力の入力値です。データフローは2種類あります。

現在の電力料金の計算

  1. 有効電力(kW)
  2. 定数:kW/時あたりの電力料金
  3. 乗算
  4. 小数第2位に四捨五入
  5. 現在の1時間あたりの電力料金

合計の電力料金の計算

  1. 現在の1時間あたりの電力料金
  2. 定数:1kW/時あたりの電力料金
  3. 乗算
  4. 小数第2位に四捨五入
  5. 電力料金の合計