ベルヒテスガーデナーラント酪農協同組合 – 乳製品製造・加工工程の温度監視
食品の信頼確保と緻密な管理
天然の牛乳を使った高品質な乳製品の製造には、正確に設定した温度管理が欠かせません。ベルヒテスガーデナーラント酪農協同組合は、主要な製造・加工工程にifmの革新的な温度センサを導入しています。自己監視機能を備えた特殊なセンサを使い、厳しい食品安全基準を満たす高品質な乳製品製造を実現しています。
ベルヒテスガーデナーラント(Berchtesgadener Land)酪農協同組合は、絵のように美しいアルプス山脈の麓に位置するヴァッツマン山とツークシュピッツェ山の山間部で、組合員の酪農家が生産する牛乳を使って年間約30万トンの乳製品を加工・製造しています。
ベルヒテスガーデナーラント地方のピディングにある工場では、高品質の乳製品が丁寧に作られています。瓶に入った伝統的な搾りたての牛乳やホイップクリーム、バター、クヴァーク(ドイツのナチュラルチーズ)、ナチュラルヨーグルト、ケフィア、バターミルクなど、この酪農協同組合では幅広い製品を製造しています。
ベルヒテスガーデナーラント酪農協同組合の工場長のLorenz Engljähringer氏は、組合事業について次のように説明します。「私たちは品質を最も重視しています。最新の注意を払って生乳を丁寧に扱い、できるだけ人の手を加えずに高品質な製品を作ることを目指しています。」
温度監視
乳製品の品質は温度が大きく影響し、全工程で正確な温度の維持・管理ができなければなりません。高精度なセンサを導入して、タンクローリーで生乳を搬入してから、加工・中間貯蔵・最終製品の出荷まで、プロセスチェーン全体を通して設定された温度を正確に維持します。洗浄や殺菌等の二次工程でも連続して温度監視を行い、食品関連法や安全衛生基準にも適合しています。
測定値の高い信頼性
ifmが開発したTCC温度センサは、重要管理点(CCP)の温度監視に最適なセンサです。その特長は、常時測定精度が確認できる自己監視機能です。
ifmの技術セールスエンジニアのChristian Dollは次のように説明します。「TCC温度センサのプローブ先端にある、NTCサーミスタと測温抵抗体の2つの検出素子が基準温度からの誤差と測定温度を監視し、正確な温度測定を実現します。温度検出素子は、測定した温度値をアナログ信号またはIO-Linkで出力します。基準素子は、プロセス値の測定精度の誤差を比較・検証します。センサは長期間使用するうちに温度測定精度が低下しますが、検出素子と基準素子間の温度ドリフトからこれを把握できます。センサは、規定された精度の許容誤差のリミット値を超えると即座に警告を表示します。このとき、センサのLEDディスプレイが緑から青に変わり、診断出力からコントローラへ警告信号を送信します。この独自の自己監視機能が測定範囲全体にわたり働き、信頼性の高い測定精度を確保できます」
診断機能のもう1つのメリットは、CCPの監視に他のセンサを追加する必要がない点です。そのため、ハードウェアや設置コスト、校正にかかるコストが大幅に削減できます。CCPに設置される従来の精密センサと大きく異なり、TCC温度センサは定期的に交換する必要がありません。他のセンサは、精度低下に備えて定期的・予防的に交換しますが、TCCは本当に必要な時だけ交換すれば良いため、コスト効率を高めます。また、TCCセンサは、精度を自動検出して誤差の許容限界に達するとアラートを送信する、特殊機能を備えています。このような場合はセンサを交換しますが、測定精度の低下を心配して交換する必要はありません。
精度誤差の許容限界に達しない限りプロセス値の信頼性が確保されるため、TCCセンサは校正の頻度を低減します。このような測定信頼性により、ばらつきのない高い製品品質を維持します。TCCシリーズのすべてのセンサは工場出荷時にISO3点校正証明書を発行し、確実な品質保証を行っています。また、IO-Linkにより、センサのシリアル番号から診断情報等がすべて保存・管理できるログ機能を備え、品質保証・文書化に必要なデータを記録でき、最大限の信頼性を実現します。
IO-Linkのデジタルデータ伝送と診断
TCCは、アナログ出力(4~20mA)と診断スイッチング出力の接続の他、IO-Linkにも接続できます。このデジタル式通信により、2つの測定素子の温度値を個別に読み取れるなど、高度な診断機能が利用できます。そのため、リミット値の設定に関係なく温度ドリフトの挙動を早期に把握できます。この機能により、校正の必要性がすぐに判断できるため、センサ交換を最適なタイミングで計画できます。また、温度ドリフトのリミット値など、IO-Linkからセンサのパラメータ設定も可能です。
TCCが選ばれる理由
ベルヒテスガーデナーラント酪農協同組合は、工場に導入したTCC温度センサに非常に満足しています。「高品質な食品製造を実現するため、ifmの温度センサを導入しています。 TCCは、製造・洗浄・殺菌工程の温度測定に使われます。センサはプローブに2つの温度検出素子を内蔵し、片方の素子が損傷しても他方の素子がコントローラへ測定信号の送信を継続するため、安定したプロセスが維持できます。手頃な価格に加え、アルカリ・酸や消毒薬に強く、食品安全性も考慮してこのセンサを選びました」と、ベルヒテスガーデナーラント酪農協同組合のプロセスエンジニアリング・オートメーション部門長であるAndreas Holleis氏は説明します。
ifmとのパートナーシップ
この酪農工場では、温度センサの他にも、配管・タンクには圧力センサが、バルブマニホールドには高周波誘導式近接センサなど、ifmのさまざまなセンサが使われています。工場長のLorenz Engljähringer氏は、偶然選んだわけではないと言います。「私たちは、何十年にもわたってifmと緊密なパートナーシップを築いてきました。品質の高い製品を製造し、安全で効率的な製造工程の実現を目指す上で、ifmはなくてはならない存在です。」
ベルヒテスガーデナーラント地方のヴァッツマン山とツークシュピッツェ山の山間部に位置するのどかな工場では、組合員の酪農家が生産する牛乳を使って、年間約30万トンの乳製品を加工・製造しています。
結論
測定精度を常時自己監視して100%の信頼性を確保することは、食品の信頼を守るために重要です。牛乳のように最高の品質が要求される繊細な加工・製造工程には、こうした機能が欠かせません。ifmのTCCが、測定の信頼性確保に大きく貢献します。