EREMA – リサイクル事業のデジタル化
リサイクルプラントメーカーEREMAが信頼するifmのハードウェア製品と振動監視技術
ペットボトルや食品包装、ビニール袋、おもちゃなど、プラスチック製品は日常生活のあらゆる場所で使用されています。多くの場合、それらは数時間・数日といった長期間ではない用途に使われるものです。世界では、年間約4億トンものプラスチックが生産されています。そのうち、リサイクルして再利用されるのはごくわずかな割合しかありません。数多くのリサイクル事業者の中で、プラスチック循環利用に成功した企業が、オーストリアのEREMAグループとドイツのPET-Verpackungen GmbHです。
EREMAグループは、使用済プラスチックが新しい製品に生まれ変わるリサイクル技術を専門とする企業です。同グループは、プラスチックのリサイクル設備プラントの設計・建設と関連ソリューション・サービスを開発・提供しています。稼働中のリサイクルプラントは世界中に約7500か所あり、2000万トン以上の再生ペレットの製造が可能です。
「ペレットの製造は、粉砕して洗浄・分別したフレーク状のプラスチックを当社システムのオペレーターに投入します」このように、EREMA Engineering Maschinen und Anlagen GmbH.の機械エンジニアリング・分析技師であるFlorian Schieder氏は説明します。「その後、このフレーク状のプラスチックは乾燥・圧縮・溶解・ろ過処理され、当社のリサイクルプラントでペレット状にします。こうして作られたプラスチックのペレットは、リサイクル素材を再利用して新たなプラスチック製品を製造するための原料となります」。例えば、PET-Verpackungen GmbHのように食品グレードのペレットを製造する場合、フレークを高温・真空下で粉砕します。「こうすることにより、原材料を除染するだけでなく、この特殊な処理でペレットと最終製品の発色を改善できます」(Schieder氏)
各システムを最大80台の振動センサで監視
EREMAでは、ifmのセンサ技術とIO-Linkマスタを導入して製造プロセスを制御しています。EREMA Engineering Maschinen und Anlagen GmbHのPredictOn開発プロジェクトマネージャーを務めるYvonne Kappacher-Winter氏は次のように言います。「当社では圧力センサ・光電距離センサ・流量センサを長年使用して重要プロセス値をすべて監視し、適したスピードで材料を供給しています。現在、システムのデジタル化をさらに進めており、モータ・ギア・吸引ポンプ・ルーツ圧縮機に合計で最大80台の振動センサと、油の状態を監視するセンサを取付けています。これにより、システムのメンテナンス要件を正確に記録できます。ユーザーは、当社の予知保全システムのPredictOnを使って、システム上やユーザー専用サイトのBluPortから、システムの稼働状況に関する情報を確認できます。これにより早期に破損を予測し、適切なメンテナンス計画が立てられるので、ダウンタイムを最小限に抑制できます」
制御盤内の診断機器が振動センサから収集したデータを処理し、Ethernet通信でifmのIIoTコントローラのゲートウェイに送信します。
IIoT controllerが全センサデータを上位ITレベルに送信し、いつでもノートPCやスマートフォンからデータを確認できます。
デジタル化:ワンストップですべて提供
Florian Schieder氏は、こうも言います。「当社には、24時間稼働するシステムで毎時最大6トンの樹脂ペレットを製造しているお客さまもいらっしゃいます。長期間にわたり機械設備が稼働できることは、当社とお客さまの両方にとってますます重要になっています。故障の兆候を早期に検出して防止するためには、さまざまなセンサとデジタル化の促進が必要なことは明らかでした。当社に合った製品で振動解析の専門知識と技術がある力強いパートナーのサポートが必要でした。ifmは、センサ・診断装置からIO-Linkマスタ、ゲートウェイ機器まで、ワンストップですべて提供しています。このおかげで、当社もシームレスなソリューションをお客さまに手軽に提供できます。お客さまは処理データをノートPCやスマートフォンでいつでも確認でき、適切なタイミングでスペアパーツの注文等の対策ができます」
100%リサイクルの容器
PET-Verpackungen GmbHも、こうしたデータに基づくメンテナンス計画が可能であることを高く評価しています。ドイツのリサイクルガラス製造会社のWiegand Glasグループに所属する同社は、主に飲料用PETのプリフォーム(予備成形品)の他、10mlから30リットルまでの成形PET容器を製造しています。「リサイクルというテーマは、私たちにとってますます重要になっています。リサイクル材から作られた製品を求めるお客さまも増えています。100%リサイクル製品が求められる場合もあります」と、PET-VerpackungenのオペレーションズマネージャーのMatthias Raab氏は言います。「こうした理由から、3年前に自社リサイクルプラントの立ち上げを決定し、技術パートナーにEREMAを選びました。」PET-Verpackungenでは、毎日最大50トンの再生原料ペレットを生産しています。「すべてのシステムとプロセスが確実に機能しなければ、生産プロセスは維持できません。収集データを使って状態監視と保全計画を簡略化するEREMAのデジタル化ソリューションが、これを支えています」と、Raab氏は述べます。
結論
ifmは、統合デジタル化ソリューションによるシステムの全体監視を支え、EREMAのプラスチックリサイクルプロセスに付加価値を提供しています。状態基準保全により、システムの稼働率を高めてリサイクルの可能性を最大限に広げます。
最大80台の振動センサが設置されたEREMAの最新システム。システムのモータやギア等を監視します。