GASER - デジタル化が陽極酸化業界を支援
表面の仕上げデジタル化
GASERとifmが協力してどのように陽極酸化処理を最適化したか
GASER Groupは金属の表面処理を専門としています。特に自動車・航空市場のトレーサビリティとプロセス監視の高まる需要に応えるため、同社は自動化のスペシャリストであるifmと協力してデジタル化戦略を展開しています。
ねじ、家具のフレーム、ブレーキディスク、航空エンジン部品など、特別な耐久性や美的性質を必要とする金属部品には、ガルバニック表面処理を行います。一般的なプロセスには、陽極酸化、ニッケルめっき、亜鉛めっき、熱処理、スプレー塗装などがあります。その目的は、耐食性、耐久性、外観を最大限に高めることです。
多様な技術
「デジタル化は、トレーサビリティを確保し、プロセスを監視するための基本です。」とGASERゼネラルマネージャーのEnrico Galliani氏は説明します。「当社には長い伝統がありますが、ここ15年でまた大きく成長しました。つまり、当社の技術は非常に多様であるということです。当社は、この系統的デジタル化によって、グループ全体のデジタルレベルを標準化し、お客様に品質証明に関する一貫した情報を提供できるようにします。」
あらゆるシステムに対応する個別ソリューション
GASERは、このデジタル化戦略の実施に、自動化のスペシャリストであるifmを選びました。「われわれは協力に感動していますが、それには複数の理由があります。第一に、ifmの専門家が、業界特有の現実を目の当たりにして、当社のニーズに完璧に適応してくれたことです。この業界が最もニッチな分野であるのは間違いないため、これは当然のことではありません」とGalliani氏は言います。「第二の理由は、ifmには高い柔軟性があることです。あらゆる要件に包括的なソリューションを提供するのではなく、個々のシステムや現場を対象にして、当社が望むアップグレードのためのオーダーメイドのソリューションを開発することができました。」
スキルからデータに基づく意思決定まで
GASERにとって、それはお客様にとってのプロセスの透明性だけではありませんでした。イノベーションマネージャーのGraziella Galati氏は説明します。「もちろん、企業の現状を客観的に把握し、意思決定の基礎となる安定したデータベースを作成することでグループの成長を反映させたいと考えています。しかし、デジタル化のプロセスはスタッフの日常業務にも役立っています。GASERにとって、スタッフのスキルと経験は非常に重要です。」
目標に一歩ずつ近づく
プロジェクトの複雑さによる当初の課題にもかかわらず、Galati氏は結果について前向きです。「ifmとの協力により、当社は、社内的に成長し、能力を拡大し、そして全体なポジションを強化することができました。結果がそれを証明しており、当社が正しい道を歩んでいることを示しています。」
GASER Groupはifmとともに、また別の目標に取り組むことについても前向きな姿勢を見せています。
品質とトレーサビリティのためのセンサデータ
自動化・デジタル化マネージャーのAntonio Rendina氏が説明するように、このプロジェクトには主に温度、pH値、電流のためのセンサがあります。「これらのパラメータは処理が成功したかどうかを把握するために重要です。このようにして、プロセスを監視し、品質保証のために異常を特定することができます。」
新旧のセンサの組合わせ
GASERはデジタル化に向けて2つの課題を克服する必要がありました。1つ目の課題は、古いシステムもデジタル化に対応させる必要があるということでした。「ifmと協力して、IO-Link技術搭載のスマートセンサを旧式の生産ラインに統合することができました。」とRendina氏は言います。ほとんどのifmのセンサにはIO-Link技術が搭載されており、PLCとの通信を損なうことなくITレベルへシームレスでストレートなデータ転送が可能で、古いアナログセンサもGASERのシステムデジタル化の一環としてデジタルデータ収集に含める必要がありました。ifmはアナログ信号をデジタル情報に変換するコンバータという形でこの課題に対するソリューションを提供しました。
ITによるプロセスの最適化
2つ目の課題は、得られたデータを生産現場のスタッフが利用できるものにすることでした。これに関してはifmのIIoTプラットフォームmoneoを使用することで同意しました。moneoは使いやすく非常に強力なifmソフトウェアで、お客様は簡単にプロセス順序の見直しや最適化をすることができます。moneoにより充填レベル、温度傾向、システムのメンテナンス要件を監視することができます。補充の失敗やシステム異常による想定外のダウンタイムや、プロセスの逸脱による品質低下を回避することができます。
写真1(左):VVB振動センサが、オーブンファンの状態を監視します。IO-Link技術により、測定値を直接ITレベルに送信します。
写真2(中央):メインプロセスデータが表示されるmoneoダッシュボードは作業現場で非常に見やすくなっています。介入が必要な場合、応答時間は非常に短くなります。
写真3(右):温度プローブや評価ユニット、ケーブルは、陽極酸化処理の過酷な環境条件にも耐えられます。
より簡単な制御、より迅速な応答
GASERは、ソフトウェアを使用して関連プロセスデータを読みやすいダッシュボードに照合し、システムモニターに表示することができます。
「新しいソフトウェアの導入により、現在では流域の温度確認などが非常に簡単になりました」と、GASERのプラント技術者のMatteo Margiotta氏は言います。
生産ラインからマネジメントレベルまで
生産だけでなく、マネジメントも透明性から利益を得ています。moneoにより、担当者はあらゆるシステムや現場を一元的に監視できます。センサデータをGASER Core ERPシステムに統合することで、生産データと企業データを組合わせて戦略的分析に利用することができます。
「ifmは、当社がこのような考えを発展させるうえで大いにサポートしてくれました」とAntonio Rendina氏は言います。「トレーニングや能力開発の他にも、新しいアプローチの模索や一緒に困難を克服するために、今でも毎日のように話し合っています。そのため、『Close to you』という彼らの主張は、まさにその通りです。」