長寿命でより効率的な水のろ過を実現
New Logic Researchの振動せん断強化処理 (VSEP)をifmが支えています。
ろ過は液体から固体を分離する最も単純な方法です。基本的なろ過は、フィルタ(工業では一般にメンブレン膜とも呼ばれる)を使って不純物を含む液体を濾すだけでできます。液体から分離する固体は、膜孔のサイズによって変わります。ただし、問題点もあります。 長期間ろ過しているうちに、膜に固体が詰まって流路を塞ぎ、液体が通らなります。こうなった場合は膜を交換します。
振動により膜の目詰まりを防ぐ技術
New Logic Researchの創業者達も、従来の膜分離ろ過法はコストが高い場合が多いことを認識していました。同社によると、彼らの開発した振動せん断強化処理(Vibratory Shear Enhanced Processing:VSEP)による膜分離ろ過技術は、従来型に比べて膜寿命が大幅に伸び、最大で10倍近いろ過率流速を実現するとしています。
New Logic ResearchのCOOを務めるChip Johnson氏は、次のように説明します。「名前の通り、当社の技術は振動を利用し、膜に特殊な振動を与えてろ過処理を行います。これにより、膜の目詰まりが抑制され、競合技術に比べて膜クリーニングやフィルタ交換の頻度を大幅に低減できます。同時に、省エネで高効率なろ過処理が実現します。」
システムの様々な数値をすぐに把握できる
ろ過処理を最大限に効率化するため、現在New Logic Researchは膨大な数のifmセンサを導入して、振動と水の流量・圧力・温度・伝導率を常時監視し、ろ過品質の指標に利用しています。「当初販売していたろ過システムは、全体的にセンサ技術を採用しておらず、お客さま自身がろ過システムの運用に責任を担う形になっていました。しかし、当社のシステムが理想的な効率と寿命を達成するためには、正しい運用が欠かせないのだとすぐに気づきましたが、その基本となる特殊なノウハウをお客様が必ず理解しているとは限りません。そのため、ろ過を1つのサービスとして提供することにしたのです」と、Chip Johnson氏は述べています。
自動化による最大効率化
考えを変えて様々な数値をセンサで監視するようになってから、お客様とNew Logic Researchの両方にさまざまなメリットがもたらされています。「ろ過システム全体を自動化し連続監視を行うことにより、当社とお客様の双方が常にシステムの状態を明確に把握できます。これによりコストの高いメンブレン膜の余計な負担がなくなります。定期点検のほとんどがリモート化でき、緊急時のみ専門担当者が現場を訪問すれば済むので、当社とお客様の双方にとって時間とコストの大幅な節約になります。」とJohnson氏は述べています。
分散設置された複数のセンサからIO-Linkマスタがデータを取得して一括して伝送します。省配線で工数を短縮でき、作業ミスが起きません。
印象深く残る信頼性の高いセンサ
New Logic Researchがろ過システムの監視と制御にifmを導入したのは、Johnson氏が自動化のスペシャリストから提案された圧力センサがきっかけでした。「ifmと最初にコンタクトしたのはいつだったか、よく覚えていません。ただ、ifmから初めて購入した圧力センサが非常に丈夫だったことをはっきりと覚えています。とにかく長く使えたので、当時のセンサが今もどこかのシステムでまだ稼働していても不思議はありません。信頼性の高さとコストパフォーマンスの良さに、私たちNew Logic Researchの全員がすぐに満足しました。また、ifmの幅広いセンサのラインナップから必ず合う製品が見つかります。」
IO-Linkの省配線で接続作業を軽減
New Logic Researchは、センサに加えてifmのIO-Linkも導入しています。
エンジニアリングマネージャーのMatt Ayers氏は、このシステムの利点について次のように述べています。「IO-Linkマスタと標準M12接続により、ろ過システムの配線作業が大幅に短縮できました。何百メートルもの複雑で膨大なケーブル接続に替わって、システムから中央の制御盤にまとめて正しく配線でき、センサとマスタを分散して設置できました。また、標準M12コネクタを使うため間違えなくなり、接続先が分からないということがありません。以前は数週間もかけていた作業が今は数日で終わります。そのおかげで時間に余裕が生まれ、出荷前の作業が楽になりました。」
価値ある資源から代えがたい資源を取り出す
New Logic Researchのろ過システムの取引先は、採掘業者や自動車に使われる触媒コンバータのメーカー等があります。「当社のシステムが使われる理由は、業種に関係なく同じです。有価物が含まれた固形物から水をできるだけ効率的に分離し、1回でも何回でも再利用するためです。また、当社のシステムを使用した、通常の水循環への放出前に行う産業用水処理の事例もあります。お客様の目標がより効率的に達成されるなら、当社のろ過技術の魅力はさらに高まります。そして、グローバルな水循環が十分な水質でもっと可能になります。ですから、私たちの事例の多くは、価値ある資源から何物にも代えがたい資源を取り出すことなのです。資源の争奪戦は石油から水に変わろうとしています。現在と将来に向けて、希少になりつつあるこの資源をできる限り節約していくしかありません。私たちはそれに対し、当社のソリューションで貢献していきたいと考えています。」
結論
New Logic Researchは、信頼性の高いifmのセンサを導入して効率的なろ過と状態監視が一体化した包括的なサービスの提供に成功しています。また、IO-Linkによる自動化の実現が、さらに高いレベルの効率化へとつなげます。これは、作業工数を軽減し配線ミスをなくすことで可能になります。